個人事業主が2019年確定申告で注意したい棚卸とは?
独立開業して経理もするようになった。 青色申告の確定申告が近づいているが、うちの会社ではどうやら「棚卸」というものが必要みたいだ。
とはいっても自分も経理の素人。棚卸って何だろう?
青色申告だから棚卸するの?白色申告ならしなくても良いの?
物販を扱うような卸売業は決算や確定申告の時に棚卸が必要になってきます。 とはいえ、いきなり確定申告は棚卸が必要と言われても困るというものですね。
当ブログは税理士が個人事業主やフリーランスの方からいただいたご相談などを解説しています。
今回は個人事業主が確定申告する時の「棚卸」とは何をしなければならないのか?という疑問をいただいた事例についてご紹介していきます。
個人事業主が確定申告の棚卸で多い誤り
仕入れをしたものはすべて原価として経費?
そもそも棚卸というのは何かを簡単に言いますと 「決算や期末に商品の在庫の数量をチェックすること」 です。
棚卸をしないと期中に仕入れたものがすべて原価になってしまいます。 まだ売れていない商品の在庫も経費になってしまうのは会計上正しくないのです。
これは税務でも同じ扱いですから、期末や決算時には棚卸を行わなければいけません。
棚卸は白色申告なら関係ない?
棚卸をするのは帳簿をキチンとつける青色申告だけなのでしょうか? 結論から申し上げますと「ノー」です。 青色申告ではない白色申告であろうと棚卸というのは行う必要があります。
ですから棚卸というイベントは青白関係なく避けては通れないという事になりますね。
棚卸は原価となる商品の仕入だけしておけば良い?
棚卸は商品など売上原価を構成するものだけ行えば良いかというと実は違います。
厳密にいうと販売管理費と言われる部分に入ってくるものも棚卸が必要になります。
会計上では仕入となるものは「棚卸資産」ですが、その他のものは「貯蔵品」という科目を使用する事が多いです。
実際に実務上でよく出てくるものとしては下記のようなものが該当します。
- レターパック
- 切手
- 印紙
- 商品券
- 消耗品で未使用のもの(文具など)
なお、決算近くになって印紙を大量に購入したりする方がいらっしゃいますが、これは税務的には完全にアウトです。 期末に未使用のものは貯蔵品に振り替えなければいけません。
もし税務署の調査が入った時に棚卸するように修正申告させられる可能性が高いですので覚えておいてください。
個人事業主が確定申告の棚卸で多く悩むこと
棚卸ってどうやるの?
根本的な質問だと思いますが、棚卸の方法は大きく分けて2つあります。
- 実際の商品を数える方法(実地棚卸)
- 保存してある帳簿から論理的に算出する方法(帳簿棚卸)
特に製造業は倉庫の商品や部品の在庫を一つ一つ数えていくのは不可能に近いですから、ランダムでの実地と正確な帳簿との併用というところが多いですね。
棚卸してどう計算が変わるの?
具体的に棚卸による数字の違いを示しましょう。
たとえば今期の売上が200で仕入が100。棚卸した結果、在庫に20商品が残っていた場合
今期の売上利益=200▲80=120
棚卸をしていないと… 200▲100=100
このように正確な売上利益を算出するために棚卸をするのです。
税務調査があった場合には、棚卸していない場合はその分の利益が低くなっているので「期ズレ」として修正事項になります。 本来の税金+過少申告加算税と延滞税が修正申告をするとかかってしまいます。 正しい申告をしないと余分な税金を支払う事になりますね。
個人事業主が確定申告で棚卸するときのアドバイス
年に一度ではなく月に一度という方法もあります
棚卸を行うのは年に一回決算の時だけというのが通常ですが、そうではなくて棚卸を一ケ月に一度行うようにするという方法もあります。 特にこの方法は実地棚卸の時に効果を発揮します。
幾つかの商品があるのであれば、一度にすべての資産の棚卸を行うのではなくて一つずつ毎月正確な棚卸をして正確にしていくという方法です。 そうする事で決算時にだいぶ負担が軽くなります。
棚卸を正確に行うほど本当の利益も見えてくる事になりますからね。
会計(経理)を税理士に依頼するのも良し
棚卸を実地ではなくて帳簿だけで把握できるのであれば経理はあらかじめ税理士に依頼して任せてしまうのも良いでしょう。 自分は事業に集中したいからと税理士に依頼というのも考え方の一つですね。
また、経理が別にいるのであれば経理教育を税理士に頼むという事もできるでしょう。 どうか自社の時間を有効に使っていただければ。
相談者ごとのニーズに答える税理士事務所が増えていますので税理士を検索されてはいかがでしょうか? あなたの事業の成功を心から願っております。
以上がお伝えしたかった「個人事業主が確定申告で行う棚卸」についての内容となります。 本稿が少しでもあなたのお役に立てましたら幸いです。