個人事業主の税金開業お役立ち講座

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2019年の確定申告開始!個人事業主が開業したら面倒でも確定申告は調べよう!

個人事業主が確定申告で多い間違え

独立開業して数カ月経ち売上も何とか順調に伸びてきた。
経費による出費もかなり発生しているけど特にまだ集計もしていない。

個人で独立開業すると確定申告をしなければいけないというのは分かっているのだけれど、あまり調べる気になれないなぁ。
さてどうしたものか…。

独立開業すると切っても切れなくなるのが税金のコト。

売上や経費を単に集計するだけでなく、最終的に確定申告をしなければなりません。
2019年の確定申告も2月18日から始まりました。

今回は、個人事業主が事業を開業しての経費集計や確定申告について記載いたします。

個人事業主が陥りやすい確定申告の誤解

個人事業主が確定申告で多い誤解

利益が出なければ確定申告はしない?

あなたが独立開業した個人事業主もしくはフリーランスであり、収入(売上)から経費を引いた金額である所得(もうけ)がマイナスであれば確定申告の義務はありません

しかし、青色申告の承認申請書を提出しているのであれば所得がマイナスであっても後々では有利にはたらきます。

純損失の繰越しと繰戻し 事業所得などに損失(赤字)の金額がある場合で、損益通算の規定を適用してもなお控除しきれない部分の金額(純損失の金額)が生じたときには、その損失額を翌年以後3年間にわたって繰り越して、各年分の所得金額から控除します。
また、前年も青色申告をしている場合は、純損失の繰越しに代えて、その損失額を生じた年の前年に繰り戻して、前年分の所得税の還付を受けることもできます。
(所法2、52、57、70、140、143、144、148、149、所令144、145、所規56、57、61、63、65、所基通144-1、措法25の2)

No.2070 青色申告制度|国税庁

上記のように、青色申告の場合には翌年以後3年間マイナスの金額を繰越する事ができるのです。そして翌年以後に所得がプラスとなってもマイナス分と相殺できます。

ネットからの収入は確定申告しなくても大丈夫?

ここ最近で増えてきたインターネットを用いたビジネス。Amazonやヤフオク、メルカリを用いた転売(せどり)・アフェリエイト報酬などはこれらの最たる例ですね。
こういったインターネットビジネスは確定申告をしてもバレないか?という質問をよく尋ねられます。

結論から申し上げますと確定申告をしないとバレるのは時間の問題でしょう。

というのも最近は税務署もインターネットからの収入が多く発生しているのはよく分かっています。 それだけに税務署でも「情報技術専門官」というようなインターネットからの収益を専門に扱う部署ができています。
税務署は時に権限を用いて銀行から預金明細を取り寄せたりもできますし、収入の支払い業者にも確認が可能です。

それだけに収益が出ているならば確定申告は必須と言えます。

開業届を出していないから確定申告できない?

開業届を出していなくても確定申告はできます。

個人の開業届の期限は「開業したから1ヶ月以内」となっていますが、出し忘れに気付いた時にはすぐに提出しましょう。 最悪の場合には確定申告書と同時に出すのもやむをえないと言えます。
一番最悪なのは開業届を出していないからと確定申告自体を無視してしまう事です。 税務署は何も気づいてないようでしばらく泳がせている場合もあります。

3年ぐらいしてから税務調査や呼び出しの連絡が入る事も…。 そうしますと今まで確定申告しなかった分の税金に加えて無申告加算税や延滞税というような罰則的な税金もかかる羽目になる事もあります。

罰則の税金なども課されるので、無申告が一番重い事態になるという事にご注意下さい。  

個人事業主が確定申告で多く悩む事項

個人事業主が確定申告で多い悩み

事例1:そもそも確定申告とは?確定申告の流れが分からない

確定申告とは?

確定申告を耳にした事があるかと思いますが、確定申告とは何なのでしょうか?
個人の確定申告は一年の税金における総括のようなものです。

余談ですが法人の確定申告も会社の事業の総括と言えます。 確定申告によりどれだけの税金を納めるかを計算します。

確定申告の期間は?

個人の確定申告の計算期間は1年です。毎年1月1日~12月31日となります。

開業した年だけ開業日~12月31日となります。 法人は3月決算が多いですが、個人は3月決算のような事はできません。

毎年確定申告の期間は2/16~3/15とされています。 実際には還付(税金が戻ってくる)申告は1/1から受け付けています。

確定申告では納税も期限までに納める

確定申告書は提出するだけでなく同時に所得税を納税する必要があります。

初めて税務署から送られてくる封筒に納付書というピンク色の紙が同封されています。 これを3/15までに納税する必要があります。(消費税は3/31が納税期限)

なお、納税は振替納税という銀行口座からの引き落としにすると約1ヶ月ほど納税の期間が伸びます。(大体引き落としが4月20日ごろになる)

住民税や事業税は後から

確定申告をするとその確定申告書が個人の住んでいる市区町村に回されます。

そこで市区町村の課税部門が住民税や事業税を計算して後から納付書を送ってきます。 所得税を納めて一安心と思いきや住民税や事業税も後から来るという事を覚悟しておきましょう。

事例2:開業前の経費は確定申告では入れられない?

独立開業して初めて確定申告される方の悩みで多いのが、開業届よりも前に生じた経費についてです。 結論は開業前の経費も確定申告で経費にできます。

経理処理としてはやや通常の経費と異なるので注意が必要です。 この場合にはいったん「開業費」という無形資産を「繰延資産償却」という形で5年間で経費にするか任意で一度に経費にします。 利益が出ているならば一度に全額を経費にするのが良いでしょう。

結果としては単に経費にするのと数字上は変わらないのですが、あくまで厳密に経理処理するとこのようになります。  

開業した個人事業主さんへ税理士からアドバイス

個人事業主の確定申告へのアドバイス

確定申告の前段階の経理を早めに行いましょう

年明けから確定申告の準備をすると労力がかかる

なぜ皆さんが確定申告というイベントが重荷になっているのかというと、それは確定申告開始の2月ごろになってようやく前年の一年間の集計を行うからです。2019年の確定申告も既に始まってしまいました。

税理士であっても一年間の集計を行うというのはとても苦痛です。

であれば解決方法としてはできるだけ早めに経理を行うに尽きます。 毎日のように市販の会計ソフトなどを購入して経理しておけばだいぶ楽になります。

どうか溜め過ぎないで経理を行っていきましょう。

早めの経理は経営状況が把握できる

経理を行うのは確定申告だけのためではありません。

経理を行う事により、どれだけ利益が出ているか?原価率に異常はないか?というような事もクリアになります。
「かなり利益が出ていると思ったら、実は交通費や交際費が多くかかっていて実はそれほど利益が出ていなかった」 という事もよくありますから、早めに経理する事はメリットだらけなのです。

税理士に確定申告や経費の相談をしてみるのも良いでしょう

経理を早めに行うという事をアドバイス致しましたが、本当に自分の事業に集中したい場合には税理士に依頼するというのも解決方法の一つです。

また、最初にどのように経理をして行けば良いのか?や、はじめは正しい経理方法を習いたいという場合には税理士に相談するという方法もあります。
最初から顧問契約をせずとも、スポットで確定申告するための疑問を相談するという方法も取る事ができます。

自分で何十時間もかけて内容が不正確な確定申告書を作成するぐらいならアウトソーシングしてしまうという考えもアリではないでしょうか?  

以上がお伝えしたかった「開業経費確定申告」についての内容となります。 本稿が少しでもあなたのお役に立てたら幸いです。

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